2回目の体験操縦


ホノルルまでの旅

  最初の体験操縦から2ヶ月後、の1996年11月何とか口実をつけてホノルルへ。
今回は、友人を口説いて同行してもらった。
と言うのは、あの8時間から9時間と言う旅客機の時間が一人では耐え難かったし
友人はすでに10回以上のハワイ旅行の経験があり、一人で自由時間を過す事ができる事だった。
 今回は関西国際空港を夕刻出発のノースウエストだ。大分から伊丹まで行き、バスで関空へ向かった。
空港の旅行会社のカウンターで「今回は航空会社の都合でビジネスクラスの席を使っていただきます」と言われ、ん?

機内に入ると、なんと座席の広いこと!左右も前後も広い!
友人とこんな席にはまず二度とは乗れないだろなあと言いながら席に着いた。
お!席ごとに液晶モニターが付いている、うーん贅沢!。
エコノミーではヘッドフォンしか付いていないが、さらにアイマスク、歯ブラシ、スリッパまでが
持ち帰りが出来る状態で置かれていた。
 B747が離陸滑走を始めた、室内が静かだ、エコノミーとはずいぶん違う。
二階席なのでみはらしもいい(空の上では関係ないが)

しばらくすると、飲み物のサービスが始まった。早々にワインを注文した。
とにかく飛行機では出来るだけ眠むるほうが、現地についてからが楽だという経験からだ。
ワインと同時につまみも出た。ワインを2/3ほど空けたら次のワインとつまみを持ってきてくれた。
なんと言ってもビジネスクラスでは客室係の受け持ち人数が少ない分だけサービスが細やかだ。
前回の経験からつまみを沢山持ち込んだのがバカらしい。
 食事のサービスの前にメニューが配られた。
エコノミーでは洋食か和食かの選択が出来なかったので、これには驚いた。
食事の後もワインを飲んでいたが、そのうちに予定どうりテレビを見ながら眠ってしまった。
座席がほぼ一直線になるくらい倒せるのがありがたい。

 日本時間の午前1時に目がさめた。きれいな朝日が見える。
オアフ島に近付くと空から見えるホノルルが前回の景色よりも茶色っぽい感じがする。
現地時間の8時(日本時間の3時)ホノルル国際空港に着陸した。
今回は機内での睡眠がよく取れたためか、体が軽いし、眠気がない。入国手続きも問題なく終えた。
旅費12万の3泊5日けちけち旅行の始まりだ。旅行会社による一応の説明のあとホテルへ、
今回のホテルはアウトリガーマリアだ。ここにはツアーデスクは無い。
おまけにフロントに日本語の通じるスタッフも見当たらない。

早速フライトスクールに電話する。「あ、ホテルはどこですか」の質問に「アウトリガーです」と答えると、
「アウトリガーは沢山ありますが、アウトリガーの後はなんと言いますか?」、「あマリアです」。
などと、ハワイになれた人なら笑うようなやり取りをしてしまった。


さあ飛ぶぞ!

 今回はホノルルは天気が悪い。ワイキキに泳ぎに来た人達には残念なことだ。私は泳ぐ気はないから気が楽だ。
ところがこの時に、フライトスクールでは頭の痛いことが起きていたのを私は知らなかった。

 次の朝8時にホテルにスクールから迎えが来た。友人をホテルに残して出発した。
車の中で、こんな天気なので飛んでくれる教官が居なくて苦労したのですよという話になった。
出発前に日本から電話で予約をしたときに、「私は、飛ぶ事以外に何の予定もありません」と言ってあったために、
何とか飛べるように手配してくれていたのだ。
「でも、随分揺れるとおもいますよ」と言われながら、スクールに到着した。
今回の教官が「やあ!いらっしゃい」と言いながら迎えてくれた。
「天候も良くないので、計器飛行の訓練をしましょう。」ということで、ラナイ島のラナイ空港の往復が課題となった。

計器飛行
 ホノルル国際空港の4R滑走路から離陸して110度方向へ進路を取った。
さすがに揺れる。NAVの周波数を合わせ、指定高度まで上昇する。 しばらくすると雲の上に出た。下は全く見えない。
教官から、「こんなときは、人間の感覚は全くあてになりませんから、計器を信じて飛ぶんです。」 と教えられた。

 その後、教官が「ちょうどいい機会ですから、感覚がどんなに当てにならないものかを体験してもらいましょう」
と言って、何やら管制塔との交信の後、雲の中に入るように指示された。雲の中はけっこう揺れる。
「さあ、この状態で、計器を見ずに方向、高度を維持して飛んでみてください」と言われ、やってみた。
さて、結果は、方向は90度も狂い、高度は300フィートも下がっていた。納得したところで、再度雲の上へ。

  高度と、NAVの計器を見ながらの飛行が続く、
しばらくすると、コースが外れていることに気が付いた。
教官から、「風の影響を考慮しないと、こうなるんです」と教えられた。
コースを戻してさらに飛ぶと、NAVの指示が大きく変化し始めた。
「さあ降りましょう」の声で、下降をはじめた。
雲の下に出ると、ラナイの空港が見えた。やった!計器飛行成功!
空港に着陸をするのかと思ったら、そのままホノルルへ帰還するように指示された。
 景色は見えなかったが、約3時間の結構きついフライトだった。

 次の日は天候はやや回復していた。
今日は友人が同乗してくれる日だ。
私の操縦をビデオに収めてくれるという。ありがたい!
午後、スクールから迎えがきた。
このスクールには日本からヘリの操縦免許を取りにきている人が居るという話をしながらスクールへ到着。
今日は昨日の教官とは別の、日本語のあまりうまくない教官が担当してくれた。
今日の訓練メニューは、8の字旋回と失速回復をやることになっていた。
ビデオを用意しました。約4分30秒ありますここを押してください
WindowsMedia形式のビデオです。


横風のタッチアンドゴー
昨日と同じ滑走路を飛び立って、タッチアンドゴーの訓練のために、オアフ島の中央部の
さとうきび畑の中にある空港(Wheeler)へ向かった。ここは横風での着陸練習となった。
さすがにコースに乗ったつもりでも、左に持っていかれる。着陸寸前にコースを修正するものだから
かなり品の無い荒っぽい着陸になってしまう。しかしこの教官は、手も口も出さない。うーんすごい根性!
後部座席に乗っている友人は、気が気ではなかったそうだ。
何度もチャレンジしたが、まともな(満足の行く)着陸が出来ないまま、次の科目に移った。

8の字旋回
 まずノースショア沖へと移動しての、8の字旋回の訓練に入った。
この科目の第1の勘所は、高度を保つことのようだ。どうしても高度が下がってしまう。
第2の勘所は、自分の位置関係を見失わないようにすることだ。簡単なようだが大変むつかしい。
この科目は,旋回中の高度が守れるようになったところで終了した。

失速回復
さあ、いよいよ失速回復訓練だ。飛行高度を2500フィートへと上げていった。
規定高度に達したところで。教官が友人に向かって「ジェットコースター好き?」と声をかけた。
友人は「yes」と返事はしたが、これが失速回復訓練の開始を意味するとは思ってもいなかったようだ。
教官がエンジンを最スローにして、機首をグット上げた、機体は急ブレーキをかけたような状態になり、
次の瞬間、機首を下に向け落下しはじめた。後部座席の友人は、座席に置いていた8ミリビデオやカメラが
浮き上がるのを押さえた。私は、地上で習ったとうりに、機速がつくまで、機首が起きないように
エレベータを押さえつけていた。速度計を見ながら、機首引き起こしのタイミングを待っている。
機体は海に向かって落ちていく。機内はほとんど無重力。速度が90ノットになったところで機首の
引き起こし、エンジンを巡航時の回転数200RPMまで上げて失速回復訓練は終了した。
かなりの長時間の無重力体験は感動的だった。約1500フィートの落下だった。


一連の訓練が終わり、オワフ島を縦断してホノルル国際空港へと向かった。
パールハーバー上空で管制塔から指示された滑走路は04Lだった。なかなか着陸コースに乗れないので
教官がコースに乗せてくれた。一発でコースに乗 った、すごいもんだ!
何とか着陸し、今回の体験操縦訓練が終了した。


地上での雑談の中から
雑談の中で、パイロットの義務は何だと思いますか。という質問をされた。
答えに困っていると、それは確実に着陸することなのですよ、この事のために点検、訓練をするんです。
と言われ、この言葉の重みに妙に感動してしまった。


さあ来年も来るぞ!

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